対策チームによる診察が始まる。
「怖がらなくて良いのよ海咲ちゃん…今日は楽しいファンタジー映画を持ってきたわよ…」
「…いやぁ…もう映画はいやぁ…」
映像による脳への刺激という意味で映画はうってつけだ。
外的要因による実験的治療の一環だが、この治療に罹患者、麻生海咲（７）はお気に召さない。

「さぁおとなしくして…そら『不思議の国のアリス』だ…夢いっぱいの楽しい物語だよぉ…」
対策チームトップの院長、灰原重人は海咲に優しく語りかけ、
隣にいた助手片桐医師の声が響く。
「テープ回りました」
薄暗い部屋に設置された簡易スクリーンに映像が映し出される。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ！！ヤン・シュバンクマイエル版はいやぁ！！！！」
少女の悲鳴がこだました。



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